アーティスツ・ユニオンについて

 

 アーティスツ・ユニオンは、現代美術に携わるアーティストによる労働組合です[※1]

 

 私たちは、これまで美術業界において当然とされてきた慣習の変革を目指します。アーティストは労働者とみなされず、その権利は軽視されてきました。アーティストの立場の弱さは、不当な搾取やハラスメントの温床となるとともに、多くのアーティストの貧困状況を生み出してきました。

 

 アーティストに適切な報酬が支払われること、契約を書面で交わしたうえで仕事を受けられること、アーティストとして労災を申請できること、ハラスメントのない環境でアーティストとしての仕事を行えることなど、労働者としての当然の権利が行使できることを、私たちは求めます。

 

 アーティストによる労働組合を通じて、「アーティストの報酬ガイドライン」「アーティストの倫理ガイドライン」「アーティストの労災ガイドライン」の策定を進め、遵守を求める運動を行うとともに、アーティストが働きに見合った待遇を受けられるよう、文化行政、および文化政策の意思決定にアーティストが主体的に関わることを求めます。

 

 アーティスツ・ユニオンは、アーティスト同士の競争を煽るのではなく、美術業界における他の職能との対立を先鋭化させるのでもなく、その生態系全体を健全で持続可能なものとするための助け合いの組織です。

 

 現状の改善を訴え、アーティストの地位の向上を目指すとともにその権利を拡張していくことは、美術業界に関わるすべての人の人権を尊重することにつながると私たちは信じます。

 

 アーティストが主体的に声を上げ、連帯し、美術業界に関わる誰しもが尊重される平等で公平な労働環境を実現するため、アーティスツ・ユニオンの結成をここに宣言します。

 

※1 アーティスツ・ユニオンは、プレカリアートユニオンを母体とし、プレカリアートユニオンの支部として結成されました。

 

 

 

 

 

メンバー(2023年7月3日更新)

[※個別の事情によっては氏名公開を控えることも可能です]

 

メンバー

村上華子(支部長)、湊茉莉(副支部長)、川久保ジョイ(支部書記長)、加藤翼、飯山由貴、寺田衣里、宮川知宙、藤井光、山本高之、白川昌生、田中功起、高屋永遠、言上真舟、武田竜真、Pol Maló、歳森 勳、琴 仙姫[支部加入順]

 

オブザーバー

小田原のどか、笠原恵実子、岡田裕子(いずれもプレカリアートユニオン多摩美術大学支部)

 

 

 

 

 

 

 

 

アーティスツ・ユニオンは何を行うのですか?

 

2023/06/20 東京藝術大学に「アーツ前橋の契約不履⾏事案にかかる再発防⽌を求める意⾒書」送付しました

 

■現代美術に携わるアーティストの社会的地位向上[※1]のため、キャンペーンを実施します[※2]

■現代美術に携わるアーティストの生活と仕事に関わる平等で公平な労働環境を求め、キャンペーンを実施します。

■現代美術に関わる政策決定に、当事者であるアーティストの代表者が関わることを求め、行政主体に働きかけを行います。

■現代美術に携わるアーティストの労働問題について、ともに団体交渉や争議(ストライキ)を行い、助け合います。

■「アーティストの倫理ガイドライン」「アーティストの労災ガイドライン」を有識者とともに策定します。

■現代美術に携わるアーティストに受注を行う、事業者、美術館、ギャラリー、公的機関に「アーティストの報酬ガイドライン」(2024年完成予定)の遵守を求めます。

■現代美術に携わるアーティストの労働環境、労働条件の改善を通じ、アーティストが元請けとして発注や委託を受けるまた別のプロフェッショナルや若いキャリアのアーティストの労働環境や労働条件の改善に務めます。

 

※1 参考:1980年10月27日第21回ユネスコ総会採択《芸術家の地位に関する勧告》(仮訳)

​※2 アーティスツ・ユニオンは、同じくプレカリアートユニオンの支部である多摩美術大学ユニオン(多摩美術大学支部)のアーティストたちと連携して活動します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーティスツ・ユニオンに加入するにはどのような条件がありますか?

 

 加入者は、コンテンポラリーアート(現代美術)に携わるアーティストでなければなりません。

さらに、以下の加入条件のうち、3つ以上を満たす必要があります。

 

 これらの条件はアーティストの定義を厳密化するためのものではなく、あくまで当ユニオンに加入するための目安に過ぎません。海外のアーティストユニオン[※1]を参考にしつつ、当ユニオンの指針や目標を実現するために働きかける対象(おもに美術館・公的機関)との利害関係の有無を優先し、次の内容を設定しています。

 

  1.   継続的に作品を制作している

  2.   作品が購入された経験が2回以上ある

  3.   大学または大学院および専門学校やそれに準ずる教育機関で美術を学んだことがある

  4.   アーティスト・イン・レジデンスに参加した経験がある

  5.   現代美術に関する助成金や奨学金[※2]を受けたことがある

  6.   ワークショップやレクチャーの依頼を受けた経験がある

  7.   ギャラリーやディーラーなどに作品を取り扱われた経験がある

  8.   国際芸術祭に参加した経験がある

  9.   美術館[※3]または公的な機関の企画による展覧会経験がある[※4]

10.   自作がパブリックコレクションに入っている

 

※1 主に次のユニオンの加入条件を参考にしました。Artists’ Union England Scottish Artists Union

※2 例えば、アーツカウンシル東京、小笠原敏晶記念財団、朝日新聞財団、文化庁による「コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業」などの助成金、フェローシップとしては、文化庁新進芸術家海外研修制度、ポーラ美術振興財団、吉野石膏若手美術家の在外研修に対する助成、アジアン・カルチュラル・カウンシル等の研究派遣、クマ財団「クリエイター支援奨学金制度」、堀田育英財団奨学金など。

※3 ここでの美術館とは、博物館法第2条第1項に規定する博物館又は同法第29条の規定により博物館に相当する施設として指定された施設のうち、美術品の公開及び保管を行うものを指します。

※4 ただし、公募団体展、卒業・修了制作展、自主企画展を除きます。

 

 

 アーティスツ・ユニオンの加入者はプレカリアートユニオンにご加入いただきます。加入条件を3つ以上満たした方は、以下のハラスメント防止ガイドラインをお読みください。当ユニオンのハラスメント防止ガイドラインにご賛同いただける方のみ、support @ artistsunion.jp までメールにてご連絡ください。プレカリアートユニオンに加入するには、加入金として3000円、毎月の組合費として年収に応じた組合費(1ヶ月1000円~)3ヶ月分の前納が必要です。

 

 

ハラスメント防止ガイドライン

 

 本ガイドラインは、当ユニオンの活動に関わる組合員間のやりとりや、組合員によるユニオン外の人物や組織に対しての行為、また、ユニオン外の人物や組織による組合員に対する行為に適用されます。

 

 ハラスメントとは、広義には人権の侵害であり、性別、宗教、社会的出自、人種、民族、国籍、信条、年齢、職業、身体的特徴、セクシュアリティなどの属性、あるいは、広く人格に関する言動などによって、相手に不利益を与え、その尊厳や人格を傷つけることをいいます。

 

 人権とは、人間が人間として決して侵されてはならない権利のことです。日本国憲法は法の下の平等や思想・良心の自由、学問の自由などを定めており、世界人権宣言においても、「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる」と記されています。

 

 アーティスツ・ユニオンは、いかなる人権侵害も許容しません。

 

 私たちは作品制作・公開を行う際にも、人権の尊重を自明のものと考えます。

 

 以下の行為について、これをハラスメントとみなします。

 

 ● その人格や尊厳を著しく傷つけ、社会的評価を落とす内容を吹聴する。

 ● 生命、身体、自由、名誉に対し、害を与えるなどとほのめかす。

 ● 人格や尊厳を侵害し、公然と侮辱し、精神的に追い詰める言動をする。

 

 ハラスメント防止ガイドラインに反した行いが認められた場合、厳重注意や支部からの除名となる可能性があります。厳重注意、支部からの除名については、支部運営委員会にて決定します。

 

 

 

 

 

 

 

加入条件を満たさない場合は、どのようにすればいいですか?

 

 アーティスツ・ユニオンは結成されたばかりの小さな組織です。その半数が日本国外を拠点とするアーティストということもあり、これから組織としての体制を整えていく途上にあります。現状では運営力が乏しいため、加入条件をせばめざるを得ないという事情がありますが、加入条件は数年ごとに見直していく計画です。

 

 日本国憲法は勤労者の団結を保障しており、日本においては2人以上の労働者がいれば労働組合を結成することができます。アーティスツ・ユニオンが掲げる主旨や加入条件と合致しない場合は、独自に組合を立ち上げるという方法があります。あるいは、プレカリアートユニオンに加入後、新たな支部としてアーティスツ・ユニオンとは異なる労働組合を立ち上げることも可能です。

 

 アーティスツ・ユニオン以外にも多様な労働組合が組織され、多摩美術大学ユニオンと私たちのように、ともに共闘する関係が築けることを願っています。

 

 

 

加入費・組合費はいくらになりますか?

 

 アーティスツ・ユニオンの加入者はプレカリアートユニオンにご加入いただきます。プレカリアートユニオンに加入するには、加入金として3000円、毎月の組合費として年収に応じた組合費(1ヶ月1000円~)3ヶ月分の前納が必要です。アーティスツ・ユニオンの加入条件を3つ以上満たし、当ユニオンのハラスメント防止ガイドラインにご賛同いただける加入希望の方は、support @ artistsunion.jp までメールにてご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

お問い合わせ

 

support @ artistsunion.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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